【コラム】メンタルヘルスマネジメント第5回
~ラインケアの職場環境改善とワーク・エンゲージメント~

最終回は「職場環境改善の取り組みとワーク・エンゲイジメント」をお伝えします。

前回お話しした「心理的安全性」をベースにした働きやすい職場づくりの一環として職場環境改善の取り組みがあげられます。職場環境改善とはストレスチェックの集計結果などを評価・分析し、改善の取り組みを行っていくものです。経営者主導型、管理職主導型、従業員参加型など改善主体アプローチは様々ありますが、継続性や取り組みへのモチベーションなどを考慮すると管理職層がリードしつつも、職場メンバーが主体的・自律的に参加して自分たちで実行していく従業員参加型が望ましいと思います。

また、効果的なメンタルヘルス対策として、個人向けアプローチより参加型の職場環境改善などの集団へのアプローチが有効であることがILO(国際労働機関)からも報告されています。

取り組む方向性は、ネガティブ、ポジティブどちらのアプローチでもいいと思いますが、継続的に取り組んでいくには、職場の問題点だけでなく、良いところに目を向け、さらに良くしていく取り組みが有効です。

継続して取り組むためにはむしろポジィティブ・アプローチも積極的に検討に入れましょう。 継続性の点から見ると、やりたいことを自分たちで決め、スモールステップを積み重ねることが重要です。

組織の弱みだけでなく強みも知るためには、ワーク・エンゲイジメント(仕事に対する活力・熱意・没頭)に関する質問も一部含まれる「新職業性ストレス簡易調査票」などの採用や既存の質問項目に任意の質問などを加えることも有効です。

近年、ポジティブ・メンタルヘルスが注目されています。仕事のやりがいや達成感、職務の満足などが重要な要素ですが、中でもワーク・エンゲイジメントは、モチベーションや生産性の向上に有効とされています。

様々な弱みの改善や強みをより成長させることにメンバー自らが継続的に取り組んでいくことが、個人のワーク・エンゲイジメントや職場の一体感につながっていくのです。

このようにストレスチェックが表している職場環境の「結果」をもとに、心理的安全性をベースとして問題認識や組織の強みなどの共有を図り、職場環境改善の取り組みを通じて組織としての活力を高めていくことが、効果的な組織への関りとしてのラインケアとして推奨されています。

以上本シリーズの後半5回にわたって職場のラインケアについて私なりのティップス(ヒントやアドバイス)をご提供してまいりましたが、いかがでしたでしょうか。

ぜひ皆様の職場でのラインケアの実践に少しでもお役に立てればと願って本コラムの筆をおかせていただきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

著者

宮川 浩一(宮川 浩一)- Koichi Miyagawa

株式会社NextEAP
代表取締役

一般社団法人中小企業EAP普及推進協議会
代表理事
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